日本酒をたしなむ方なら誰でも聞いたことがある「純米大吟醸」や「大吟醸」、「本醸造」などの言葉。
しかしこれらの違い分かっていますでしょうか。これらの違いが分かると日本酒通へ一歩前進すると思いますし、楽しみ方も変わってくると思います。今回はこれらの違いについて解説していきます。
先に用語の解説を
まず純米大吟醸やら本醸造やらを語る前に、分類分けに使われる言葉から先に解説しましょう。
「清酒」や「精米歩合」の意味くらい分かるという方はスキップしてOKです!
定義としては
・米や米麹(こうじ)、水を主な原料としている
・発酵させて、濾(こ)したもの
・アルコールが22度未満のもの
となります。
重要なのは2つ目の濾したものというところですね。
原料を発酵させた「もろみ」を濾すことで清酒と酒粕(かす)に分けます。
察しの良い方は分かったかもですが、濾さなかった場合は「どぶろく」になります。
濾して澄んだものだから清酒なんですね。
米を稲からもみ殻だけ取り除いた状態の「玄米」を削り磨くことを精米と言い、この精米作業の結果どれだけ残っているかを表すのが「精米歩合」です。
つまり、精米歩合60%とは40%が削り取られているということになります。
用語的にはこの削ることを「磨く」といいます。
磨く意味はなんだというと、米の表層には脂質やたんぱく質、ビタミンが多く含まれているのですが、これらは日本酒にとっては雑味となってしまいます。
そのためその原因となる表層部分を磨くほど日本酒らしい香りが生まれるということです。
しかし、ある程度の雑味もないなんて面白くないですよね?
磨きすぎては特徴もなくなってしまう、磨かなければ雑味が目立ってしまう、このバランスが清酒の味・香りを左右する大きな要素なのです。
【本題】分類分けをしていく
閑話休題ですが、本題は純米大吟醸とかってなんだよということでした。
いよいよ分類分けを見ていきます。
といっても、実は今回紹介する純米大吟醸とか大吟醸とか醸造酒とかはすべて特定名称酒の中の話なのです。
国税庁が規定している「清酒の製法品質表示基準」という基準を満たしている清酒のことを指します。反対にこの規定を満たさないものが普通酒と呼ばれます。
清酒の主な原料は米、米麹および水だと紹介しました。
これに対して醸造アルコールという、植物由来の食用のアルコールを加えているかどうかが第二の仕切りになります。
醸造アルコールを加えていない、米だけの酒を純米酒といいます。
醸造アルコールを加えたものを本醸造酒といいます。
純米酒の特徴はそのままですが、やはり米由来のうまみ、甘味、香りが楽しめるところにあります。
本醸造酒の特徴は、醸造アルコールを入れることで、米由来の糖や酸味が適度に抑えられ、すっきりとした味わいになります。
吟醸という言葉の吟という字は「吟味する」などの吟ですね。
その言葉からも連想されるように、吟醸造りとは精米歩合が60%以下の原料で通常よりも低温で長期間発酵させることを言います。
吟醸造りの効果としては酒がよりフレッシュで華やか、フルーティーな味わいになることが挙げられます。
精米歩合の割合によって名称が変わります。
ただ文章では分かりにくくなってしまうので最後は今までの仕切りもまとめて絵にしました。
最後におさらい
分類分けについて理解できましたでしょうか。
おさらいとして、純米大吟醸の特徴を書き下してみましょう。
・原料が米、米麹、水からなる米だけのお酒であり、米由来の味が楽しめる。(純米)
・精米歩合が50%以下で低温で長時間かけて発酵させた吟醸造りであり、雑味が少なくフレッシュでフルーティーな味わいが楽しめる。(大吟醸)
こんな感じで名称を見るだけでなんとなくどういう風なものなのか、分かるようになったのではないでしょうか?
とはいえ十酒十色、種類によってはそうではないものもあるでしょう。しかしこういうイメージを持っているからこそ、「これは面白い味がする!」とか「王道で美味しいなぁ~」とか感じられるようになると思います。
ぜひ日本酒選びや飲む際にお役立てください!
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